カープそしてカープファンの皆さま優勝おめでとう
前々回のリオ・オリンピックに続いてまたスポーツの話題になる。
9月10日広島カープが敵地東京ドームで読売巨人軍を撃破して、25年ぶりにリーグ優勝を果たした。それほど野球好きではない私だが、今回ばかりは最後までテレビ観戦をして、嬉しくてはしゃいでしまった。
前々日の8日に勝利してマジックナンバーを1としたカープは、翌9日は移動日で試合がなく、2位巨人が負けると受動的に優勝が決まる状態だった。
それまでは2位巨人の敗戦にほくそ笑んでいたカープファンも、9日ばかりは巨人の勝利を祈ったことだろう。
なぜならば、棚ぼた式の優勝では感激の度合いが薄れてしまう。やはり25年も待った歓喜の瞬間は直接対決で宿敵巨人を倒してこそ一入(ひとしお)だからだ。
ジャイアンツファンに加えて、こういったカープファンの願いが叶って、巨人は9日の対ヤクルト戦を長野、村田、亀井らのホームラン攻勢で勝利した。
こうして迎えた9月10日。東京ドームの半分を真っ赤に染めたカープファンの前で、先発を担うのは、「男気」黒田。これで興奮するなと言われても無理と言うほど、この上ないシチュエーションだ。
試合結果はもうご存知だからしつこく報じないが、坂本の2ランホームランによる2点をひっくり返しての逆転勝利。「神ってる」と言う流行語を生みだした鈴木の連続ホームランなど、今年のカープを象徴する試合展開だった。
勝利が決まった直後、マウンドに集結したカープ選手団の中で黒田が同じく出戻りの新井とがっちりと抱き合いながら号泣している姿は、この優勝に辿り着くまでのカープおよびカープファンの心情をすべて表わしているようで、思わずもらい泣きしてしまった。
このように書くと、私が根っからの野球好きと思われるかもしれないが、実はそうではない。もともと私はそれほどたいして野球には関心がない。自分がやっていたアメリカンフットボールやラグビーの方が観ていて楽しい。
ではなぜ、今回カープの優勝をこれほど喜んでいるのかと言うと、広島カープと言う球団が好きだからだ。そしてカープと正反対の性格のチーム、読売巨人軍が大嫌いだからだ。そんな私にとってカープがジャイアンツを破っての優勝は最高の喜びなのだ。
巷では圧倒的にジャイアンツファンが多い。私の小さい頃には巨人、大鵬、卵焼きと言う言葉がはやったくらい、野球ファン=ジャイアンツファンといっても過言ではない時代もあった。
私も、長嶋、王を観て育った時代だから、小さい頃はジャイアンツファンであった。中でも広岡や国松といった選手が好きだった。だが、大きくなってくると常勝ジャイアンツに違和感を覚えるようになった。
今は覚せい剤の方で話題になってしまった清原で代表されるように、ジャイアンツは他チームが育てたスター選手を豊富な資金で買い漁ってくる。その結果、1番から9番まで皆スター選手と言うチームが出来上がってしまう。これで優勝できなければその監督はよほど無能と言うことになる。
それに加えてテレビ放送の不公平もある。今でこそ、BS放送でいろいろなチームのゲームが放映されるようになったが、昔は読売テレビを中心に全国レベルで放映される野球の試合のほとんどがジャイアンツ戦だった。
これでは、地元にチームを抱える関西圏や名古屋を除いた地域の野球ファンが皆、ジャイアンツファンになるのは至極当たり前だ。私は、金にあかせて選手を買い漁り、無理やり人気チームとして作りあげられた巨人が大嫌いだ。
また巨人ファンにも首をかしげてしまう。もちろん、多くのジャイアンツファンは純粋にジャイアンツと言うチーム、選手が好きな方だろうが、中には、有名だから好き、とか、強いチームを応援していた方が、自分が安心できるという心理が働いてのジャイアンツファンもいるのではないかと思う。「ブランド信奉」、「寄らば大樹の陰」は日本人によく見られる、そして私の嫌いな心性だ。
こんなジャイアンツとは対照的に広島カープは親会社を持たない市民の球団である。原爆の爪痕が残る昭和24年に広島復興の願いを込めて中国新聞や広島の財界人が中心となって発足された。
1975年からの数年間、山本浩二、衣笠祥雄らを擁した赤ヘル軍団黄金時代もあったが、これまでの多くの時期は決して良い成績を残しては来なかった。
それでも、資金に限りのあるカープは発足以来、選手を自前で育成するという基本姿勢を貫いてきた。そして広島市民もいくらチームが低迷しても「おらがチーム」として粘り強く応援し続けてきた。そんなサポーターと一体となったチーム風土が黒田を大リーグから、新井を阪神から引き戻したに違いない。
広島における市民とチームの連帯感は想像を超えるもののようだ。その一つの証拠が我が息子だ。
長男は今年の3月までの2年間広島に赴任していた。自らもフットサルをやるサッカーファンで、広島に行くまでは野球にはほとんど関心がなかった。しかし、広島在住2年目に入るころにはすっかりカープファンになり、今では既に広島を離れたというのに、新幹線を使ってマツダスタジアムまで観戦に行くほどになってしまった。広島の風土病とも言えるこのカープ愛の伝染力、恐るべしである。
Jリーグのチームと同様、カープのように地元に根付いたチームこそ本来の姿だと思う。
あらためて、カープの選手とカープファンの皆さま、この度は本当におめでとうございました。クライマックスシリーズ、そして日本シリーズの勝利をお祈り申し上げます。
9月10日広島カープが敵地東京ドームで読売巨人軍を撃破して、25年ぶりにリーグ優勝を果たした。それほど野球好きではない私だが、今回ばかりは最後までテレビ観戦をして、嬉しくてはしゃいでしまった。
前々日の8日に勝利してマジックナンバーを1としたカープは、翌9日は移動日で試合がなく、2位巨人が負けると受動的に優勝が決まる状態だった。
それまでは2位巨人の敗戦にほくそ笑んでいたカープファンも、9日ばかりは巨人の勝利を祈ったことだろう。
なぜならば、棚ぼた式の優勝では感激の度合いが薄れてしまう。やはり25年も待った歓喜の瞬間は直接対決で宿敵巨人を倒してこそ一入(ひとしお)だからだ。
ジャイアンツファンに加えて、こういったカープファンの願いが叶って、巨人は9日の対ヤクルト戦を長野、村田、亀井らのホームラン攻勢で勝利した。
こうして迎えた9月10日。東京ドームの半分を真っ赤に染めたカープファンの前で、先発を担うのは、「男気」黒田。これで興奮するなと言われても無理と言うほど、この上ないシチュエーションだ。
試合結果はもうご存知だからしつこく報じないが、坂本の2ランホームランによる2点をひっくり返しての逆転勝利。「神ってる」と言う流行語を生みだした鈴木の連続ホームランなど、今年のカープを象徴する試合展開だった。
勝利が決まった直後、マウンドに集結したカープ選手団の中で黒田が同じく出戻りの新井とがっちりと抱き合いながら号泣している姿は、この優勝に辿り着くまでのカープおよびカープファンの心情をすべて表わしているようで、思わずもらい泣きしてしまった。
このように書くと、私が根っからの野球好きと思われるかもしれないが、実はそうではない。もともと私はそれほどたいして野球には関心がない。自分がやっていたアメリカンフットボールやラグビーの方が観ていて楽しい。
ではなぜ、今回カープの優勝をこれほど喜んでいるのかと言うと、広島カープと言う球団が好きだからだ。そしてカープと正反対の性格のチーム、読売巨人軍が大嫌いだからだ。そんな私にとってカープがジャイアンツを破っての優勝は最高の喜びなのだ。
巷では圧倒的にジャイアンツファンが多い。私の小さい頃には巨人、大鵬、卵焼きと言う言葉がはやったくらい、野球ファン=ジャイアンツファンといっても過言ではない時代もあった。
私も、長嶋、王を観て育った時代だから、小さい頃はジャイアンツファンであった。中でも広岡や国松といった選手が好きだった。だが、大きくなってくると常勝ジャイアンツに違和感を覚えるようになった。
今は覚せい剤の方で話題になってしまった清原で代表されるように、ジャイアンツは他チームが育てたスター選手を豊富な資金で買い漁ってくる。その結果、1番から9番まで皆スター選手と言うチームが出来上がってしまう。これで優勝できなければその監督はよほど無能と言うことになる。
それに加えてテレビ放送の不公平もある。今でこそ、BS放送でいろいろなチームのゲームが放映されるようになったが、昔は読売テレビを中心に全国レベルで放映される野球の試合のほとんどがジャイアンツ戦だった。
これでは、地元にチームを抱える関西圏や名古屋を除いた地域の野球ファンが皆、ジャイアンツファンになるのは至極当たり前だ。私は、金にあかせて選手を買い漁り、無理やり人気チームとして作りあげられた巨人が大嫌いだ。
また巨人ファンにも首をかしげてしまう。もちろん、多くのジャイアンツファンは純粋にジャイアンツと言うチーム、選手が好きな方だろうが、中には、有名だから好き、とか、強いチームを応援していた方が、自分が安心できるという心理が働いてのジャイアンツファンもいるのではないかと思う。「ブランド信奉」、「寄らば大樹の陰」は日本人によく見られる、そして私の嫌いな心性だ。
こんなジャイアンツとは対照的に広島カープは親会社を持たない市民の球団である。原爆の爪痕が残る昭和24年に広島復興の願いを込めて中国新聞や広島の財界人が中心となって発足された。
1975年からの数年間、山本浩二、衣笠祥雄らを擁した赤ヘル軍団黄金時代もあったが、これまでの多くの時期は決して良い成績を残しては来なかった。
それでも、資金に限りのあるカープは発足以来、選手を自前で育成するという基本姿勢を貫いてきた。そして広島市民もいくらチームが低迷しても「おらがチーム」として粘り強く応援し続けてきた。そんなサポーターと一体となったチーム風土が黒田を大リーグから、新井を阪神から引き戻したに違いない。
広島における市民とチームの連帯感は想像を超えるもののようだ。その一つの証拠が我が息子だ。
長男は今年の3月までの2年間広島に赴任していた。自らもフットサルをやるサッカーファンで、広島に行くまでは野球にはほとんど関心がなかった。しかし、広島在住2年目に入るころにはすっかりカープファンになり、今では既に広島を離れたというのに、新幹線を使ってマツダスタジアムまで観戦に行くほどになってしまった。広島の風土病とも言えるこのカープ愛の伝染力、恐るべしである。
Jリーグのチームと同様、カープのように地元に根付いたチームこそ本来の姿だと思う。
あらためて、カープの選手とカープファンの皆さま、この度は本当におめでとうございました。クライマックスシリーズ、そして日本シリーズの勝利をお祈り申し上げます。