今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『手の平が分厚くなる「掌蹠角化症」について』をご紹介させて頂きます。

「 手の平や「足の裏」の皮膚が厚くなる

掌蹠(しょうせき)とは、「手の平」と「足の裏」を意味する言葉です。角質が増殖して厚くなる症状を「角化症(あるいは、角化異常)」といいます。つまり、「掌蹠角化症」は、手の平と足の裏の皮膚の角質が分厚くなって、やがて固くなる病気です。欧文表記であるPalmoplantar Keratosisの頭文字から「PPK」と呼ばれることもあります。

掌蹠角化症は、赤ちゃんや幼児のときから起こる「先天性(遺伝性と呼ぶこともあります)」と、大人になってかかる「後天性」に分類されます。症状を見る限りでは、どちらかを区別することは難しく、発症年齢、家族の病歴などによって判断されます。

特徴は、手足の「赤み」と「角質の増殖」

掌蹠角化症の症状は、手の平、指全体、足の裏にあらわれる「角質の増殖」と「皮膚の赤み」が特徴です。赤みをともなった角質の増殖は、手の甲、手首、足首、足背(足の甲)、アキレス腱のあたりにまで広がることがあります。

また、手足に異常に汗をかく、そのため悪臭がする、といった症状がしばしば見られます。さらに、白癬菌(あるいは、皮膚糸状菌と呼ばれるカビの一種)に感染しやすくなり、水虫が起こりやすくなります。

通常、このような症状が、小児期までに発症していれば「先天性」、大人になってから発症すれば「後天性」と考えられています。先天性の場合、症状の多くは1歳までにあらわれますが、約2〜3歳して突然見られることもあります。後天性では、中年期以降に発症しやすい傾向があります。

すでに1万人、日本人に多い「長島型」

掌蹠角化症の原因は、さまざまです。先天性の場合、長島型、フェルネル型、ウンナトースト型など、その一部の原因遺伝子が明らかになっています。日本人の場合は、「SERPINB7」と呼ばれる遺伝子の変異によって起こる「長島型掌蹠角化症」がもっとも多く、約1万人の患者がいると推測されています。

一方、原因など詳細のメカニズムが明らかになっていないものもあり、こういったことから、いわゆる「難病」として認識されています。しかし、掌蹠角化症は、厚生労働省が定める指定難病については、現在のところは含まれていません。ただし、今後検討を行う予定があり、厚生労働省補助事業である「難病情報センター」では研究対象疾患に含まれています。

合併症も心配!早めに「皮膚科」へ

手足が「やけに赤い」、「角質が厚い」と感じたら、皮膚科を受診し、専門医に相談しましょう。歯周病、心筋症、心肥大などの障害を合併するタイプがあるため、できるだけ早めに受診することをおすすめします。

病院では、問診や診察に加えて、顕微鏡を使った組織検査などを行い診断し、掌蹠角化症であれば、そのタイプ(変異遺伝子)が確定します。詳細なメカニズムが明らかになっていないことから、根治的な治療法は、今のところ存在しません。

治療は、角質をやわらかくするために、保湿剤、角質融解剤、ビタミン製剤、ステロイド外用薬が用いられます。角質化が強い場合は、グラインダーなどを使って除去することがあるでしょう。また、角化の症状が強いときは、「ビタミンA誘導体(エトレチナート)」の内服をすすめられます。

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