今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『強迫性障害』をご紹介させて頂きます。
「鍵をかけたかな」「ガスの火をつけたままかも」
家の戸締まりや火の元を何度も確認したり、手すりやドアノブに触れるのをとても嫌ったりする人を見かけます。生活のなかでラッキーナンバーなど特定の数字にこだわる人もいます。
しかしそのような「不安」や「こだわり」が度を超すあまり、生活が不便になり支障を来している場合は「強迫性障害」かもしれません。それは不安障害という病気の1つです。英語のObsessive Compulsion Disorderを略して「OCD」ともいわれます。
不安な考えが自分の意思に反して繰り返し浮かんできて、抑えようとしても抑えられず、その考えを打ち消すために、無意味な行為を繰り返し自分に強いるのが「強迫性障害」の特徴です。その強迫行為はまるで「儀式」のようです。
たとえば、ドアノブに触れると病気がうつると心配し過剰に手を洗い続ける、衣服の着替えなどが必ず決められた順序で行わなくてはいけないと考える、左右対称など物の配置に強くにこだわる、などの行為が強迫性障害の人には見られます。
分かっているのに「儀式」をやめられない
自分でもばかばかしいと思いながらも、独自の儀式に縛られ、辛くてもやめられないのが強迫性障害の特徴です。やめようとすると不安が募ってきて、やめられないのです。
強迫行為を行うと、不安は一時的におさまります。しかし再び不安が起こり、また強迫行為を行ってしまいます。なかには行為がエスカレートしていく人もいます。
強迫性障害患者の多くは、自分の不安が現実の危険と関わりがないことを本当は分かっています。自分の儀式的な行為に効果がないことも分かっています。その点において、現実との接点を失う精神病性障害とは異なります。
発症年齢は、20歳前後がピーク
強迫性障害の発症は、20歳前後がもっとも多いといわれます。男性のほうが早く発症する傾向があるようです。女性は、結婚・出産など生活の変化で発症するケースがみられます。国内調査によると、男性の平均発症年齢は22歳、女性は24歳という結果です。
欧米では、精神科を受診する人の約9%が強迫性障害であると報告されています。日本ではきちんとした数字が確認されていません。不安障害や神経症という類いの病気が社会で理解されていないためでしょう。
恥ずかしさがあり、家族や他人に相談しづらい、あるいは精神科を受診することにためらいがあり、症状を隠そうとしている人がいるようです。症状に苦しみながらも、受診の機会を逃している人は大勢いると考えられます。
発症原因は解明の途中
発症原因ははっきり解明されていません。 これまでの研究から、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の代謝に関係があることが分かってきました。
セロトニンは、脳内の情報を神経細胞同士に伝達する役割です。神経細胞から放出されるセロトニンの働きに機能異常が生じ、情報の伝達が十分に行われなくなると強迫性障害が発症すると考えられています。
また、脳の部位に機能的な異常がみられる可能性も指摘されています。そのため脳の部位を結ぶ神経ネットワークの問題も推定されています。
薬と精神療法による、2つの治療法
強迫性障害の治療は「薬物療法」と「認知行動療法」の2つを中心に行います。はじめに、抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で状態を安定させてから、認知行動療法に入るのが一般的です。前述のように、セロトニンが関係していると言われているからです。
SSRIは、セロトニン系の神経伝達物質に作用し、その量を調整します。比較的副作用が少なく、服用すると早ければ2~3週間で症状が軽減します。
「曝露反応妨害法」が有効
認知行動療法は、精神療法の1つです。強迫性障害には「曝露反応妨害法」が有効とされています。
患者を強迫症状が出やすい状況にあえて直面させ、強迫行為をしないで我慢するという行動療法です。軽い刺激からはじめて、段階的に刺激を強め慣らせていきます。
最初は強い不安を覚えますが、しばらく続けると不安は少しずつ下がります。やがて「強迫行為は必要ない」と本人が自覚するようになり、強迫行為をしなくなる方向に向かいます。
専門医(または心理士)の指導のもとで時間をかけて行います。患者との信頼関係が大切です。強迫性障害の治療は、近年大きく前進し、回復が期待できるようになってきました。精神科や心療内科などで正しい診断を受けましょう。
◆この記事の監修医師◆
畠山医科歯科クリニック
畠山 毅 (ハタケヤマ ツヨシ) 院長
〒328-0012
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診療科目
精神科 児童精神科 心療内科 美容皮膚科 小児歯科 矯正歯科 歯科
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